「いったい誰が漏洩した?」斎藤知事「パワハラ問題」謎に包まれたままのこと、告発、失職、復活までの経緯
にもかかわらず、元局長のプライバシーは侵害されていた。日本維新の会の堀井健智衆院議員(当時)は9月2日に兵庫県加古川市内で街頭活動中、有権者に元局長のプライバシー情報を暴露し、藤田文武幹事長に注意を受けた。 藤田氏は11日の会見で、堀井氏の情報源について「複数だと認識している」とし、百条委員会開催に反対していた県党幹部からの情報漏洩は「考えにくい」と述べている。 ■誰が元局長のプライバシーを漏らしたのか
となると、誰が堀井氏に元局長のプライバシーに関する情報を流したのか。筆者は斎藤知事の側近の1人が今年4月、元局長のパソコンから告発内容に無関係のコピーをプリントアウトして持ち歩き、周囲に誇示していたとの話を耳にした。 上司である斎藤知事はこれを否定したが、仮に側近が情報を漏らしていたとしたら、地方公務員法第34条1項前段の「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない」に抵触し、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に科せられる可能性がある。
一方で、元局長が告発文書で指摘した斎藤知事の「パワハラ」の証拠は積み上がっていった。兵庫県が9700人の職員を対象に行い、うち6725人から回答を得たアンケート調査では、斎藤知事のパワハラを「目撃(経験)等により実際に知っている」と140人が回答し、「目撃(経験)等により実際に知っている人から聞いた」と800人が回答。さらに「人づてに聞いた」と回答した1911人を加えると、回答者の42%がなんらかの形で斎藤知事のパワハラを知っていたことになる。
実際に8月30日の百条委員会でも、匿名ではない証言が相次いだ。20メートル歩かせたことで斎藤知事から叱責を受けた東播磨県民局長は、「強い叱責は想定外で、頭の中が真っ白になった」「社会通念上必要な指導ではなく、理不尽な叱責だと感じている」と陳述した。 県庁には、斎藤知事への苦言の電話が殺到した。中には暴言もあり、対応する職員の神経はすり減らされた。そうした中、大阪に激震が走る。8月25日に行われた箕面市長選で、地域政党・大阪維新の会の公認の現職首長が落選したのだ。しかも現職の上島一彦市長(当時)は1万8309票しか獲れず、3万2448票を獲得した原田亮元府議にほぼダブルスコアの差を付けられた。