長期金利は上昇傾向にあるものの、日本株式市場は「上昇する」と予想 ~マーケットの振り返りと見通し【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
5.企業業績と株式
<現状> ●米ファクトセット(FactSet)によれば、日米の企業業績は過去最高水準を更新しており、好調を維持しています。7月末の米S&P500種指数の予想1株当たり純利益(EPS)は前年同月比+12.2%、TOPIXの予想EPSは同+18.7%と、いずれも2桁の伸びとなりました。 ●米国株式市場は、FRBが9月にも利下げを開始し、米景気がソフトランディングに向かうとの期待が高まり、上昇しました。ただし、ハイテク株は利益確定の売りなどから調整しました。NYダウは前月比+4.4%、S&P500種指数は同+1.1%の上昇となりました。 ●日本株式市場は、振れの大きい展開となり、小幅に下落しました。月上旬は海外投資家の買いが優勢となり、日経平均株価が最高値を更新するなど急上昇しましたが、その後半導体関連銘柄などに売りが出て急反落しました。日経平均株価は前月比▲1.2%、TOPIXは同▲0.5%となりました。 <見通し> ●米国株式市場は、インフレの鈍化によるFRBの利下げ開始が見込まれるなか、米景気のソフトランディングを前提とした適温相場が続くとみています。FRBによる利下げが先送りされる可能性や、大統領選挙、地政学リスクの不透明感などから変動性が高まる局面が想定されるものの、米景気のソフトランディングに伴い企業業績の拡大が見込まれることから、米国株式市場は緩やかにレンジを切り上げる展開を予想しています。 ●日本株式市場は、日本の名目GDP成長や製造業における景気循環の底打ちに伴う企業業績の拡大を背景に上昇すると予想します。日銀の政策変更に伴い長期金利は上昇傾向にあるものの、業績相場が続くことで下値は限られそうです。コーポレート・ガバナンス(企業統治)改革進展への期待に加え、自社株買いや新NISA(少額投資非課税制度)の資金流入など良好な株式需給も相場上昇を支えるとみています。
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