長期金利は上昇傾向にあるものの、日本株式市場は「上昇する」と予想 ~マーケットの振り返りと見通し【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
6.為替
<現状> ●円の対米ドルレートは、FRBによる利下げ観測の高まりに伴い米長期金利が低下したことや月末の日銀による追加利上げを受けて、日米金利差が縮小するとの見方が強まり、大きく反発しました。円は前月末の160円台後半から、150円台半ばに急上昇しました。 ●円の対ユーロレートは、日銀が追加利上げを決めたことから円が買い戻され、162円台に大きく反発しました。 ●円の対豪ドルレートは、円が幅広い通貨に対して買い戻されたことから、大きく反発しました。 <見通し> ●円の対米ドルレートは、米金利の低下に伴い、緩やかに上昇すると想定します。先行きのFRBの利下げ開始と日銀の追加利上げによる日米金利差縮小が円の上昇要因となるとみています。ただし、日銀は連続的な利上げを急がず、円の上昇余地は限られそうです。 ●円の対ユーロレートは、先行きのECBによる追加利下げと日銀の追加利上げが意識され、緩やかに上昇するとみています。 ●円の対豪ドルレートは、中国経済の減速懸念や日銀の追加利上げが意識され、緩やかに上昇するとみています。
7.リート
<現状> ●グローバルリート市場(米ドルベース)は、FRBによる9月の利下げ観測が高まり、米長期金利が低下したことを好感して、上昇しました。S&Pグローバルリート指数のリターンは前月末比+5.9%でした。また、円ベースのリターンは、為替効果がマイナスに寄与し、同▲0.9%となりました。 ●米国は、FRBによる9月の利下げ観測を受けて投資家のリスク選好姿勢が高まったことから上昇しました。欧州やアジアは、長期金利低下や米国リート上昇を好感して上昇しました。一方、日本は、日銀の追加利上げに対する警戒感や需給悪化懸念から上値が重く、ほぼ横ばいでした。 <見通し> ●グローバルリート市場は、米欧の中央銀行の利下げに伴い長期金利の低下が見込まれ、借り入れコストが改善することや、米景気のソフトランディングにより世界景気が底堅く推移し、賃料収入の安定推移が期待できることから、回復基調を辿ると予想します。 ●米国はFRBによる利下げ開始や景気のソフトランディングを背景に緩やかな上昇を予想します。欧州はECBの利下げに伴う上昇を予想します。アジア・オセアニアは景気の回復基調を背景に上昇を予想します。日本はオフィス賃料の改善を背景に持ち直すと予想します。
【関連記事】
- 長期金利は上昇傾向にあるものの、日本株式市場は「上昇する」と予想 ~マーケットの振り返りと見通し【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
- 「円高になったら、日本株は売りですよね?」“円安の反動”に警戒強まるも…いま本当に恐れるべき「円高よりヤバい大惨事」【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフグローバルストラテジスト】
- 日経平均「2,000円の大幅安」に過度な悲観は不要 大きく買い戻しが入ると予想されるワケ【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
- FRB、「9月利下げの可能性」を示唆 ドル円は「ドル安・円高局面」に移行した可能性大【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
- 「新NISAなんてやるんじゃなかった…」老後資金不足で投資を始めた年金月13万円・元会社員65歳がスマホを握りしめ「後悔に震えた」ワケ【FPの助言】