長期金利は上昇傾向にあるものの、日本株式市場は「上昇する」と予想 ~マーケットの振り返りと見通し【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
2.景気動向
<現状> ●米国の4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.8%となり、前期の同+1.4%から加速しました。個人消費や設備投資が堅調でした。 ●欧州(ユーロ圏)の4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.0%と、インフレの落ち着きを背景に2四半期連続でプラス成長となりました。 ●日本の1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率▲2.9%と、下振れしました。品質不正問題による自動車の生産停止の影響を受けました。 ●中国の4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比+4.7%と、前期の同+5.3%から減速しました。需要不足により内需が停滞しました。 ●豪州の1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+1.1%と、前期から減速しました。物価高で個人消費が伸び悩み、前期比は+0.1%でした。 <見通し> ●米国は、大幅な利上げに伴う景気抑制効果に加え、コロナショック後の消費増加の一巡、公的部門の鈍化などから、景気が緩やかに減速すると想定しています。個人消費が底堅いことや企業収益が好調なことから、景気の急減速は避けられ、軟着陸(ソフトランディング)に至るとみています。 ●欧州は、景気が持ち直しているものの、当面低成長が続くとみられます。ただし、インフレの鈍化による購買力の回復、労働力不足に伴う雇用増、利下げによる貯蓄率の低下、EU復興基金などの財政支援が景気を支えるため、腰折れはしないとみています。 ●日本は、インフレ圧力の継続により個人消費が力強さを欠くものの、賃金の上昇、経済対策(定額減税・給付金)、インバウンド消費の増加、底堅い米景気や堅調な企業収益を背景に持ち直し、緩やかな成長軌道を辿る見通しです。 ●中国は、不動産市場の低迷や海外企業の投資減少で需要不足が続くなか、若年層の雇用悪化などから個人消費も力強さを欠くことから、景気の回復ペースが鈍化するとみられます。ただし、政府の住宅対策や拡張財政により急激な減速は避けられる見通しです。 ●豪州は、中国景気の減速に加え、利上げの累積効果や、粘着質なインフレにより家計の実質可処分所得が圧迫されることから個人消費の回復が緩慢となるため、当面景気が緩やかに減速するとみられます。ただし、年後半のインフレ鈍化により、25年にかけては徐々に持ち直すとみています。
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