長期金利は上昇傾向にあるものの、日本株式市場は「上昇する」と予想 ~マーケットの振り返りと見通し【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】
※本稿は、チーフリサーチストラテジスト・石井康之氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。2024年7月のマーケットを振り返り、「1. 概観、2. 景気動向、3. 金融政策、4. 債券、5. 企業業績と株式、6. 為替、7. リート、8. まとめ」のそれぞれについて解説します。
1.概観
【株式】 7月の主要国の株式市場は高安まちまちとなりました。米国株式市場は、ハイテク株が調整したものの、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月にも利下げを開始し、米景気がソフトランディング(軟着陸)に向かうとの期待が高まったことから上昇しました。欧州の株式市場は、米国株式市場の上昇を受けて、ドイツDAX指数や英FTSE指数が反発しました。一方、日本の株式市場は振れの大きい展開となり、小幅に下落しました。月上旬は海外投資家の買いが優勢となり、日経平均株価が最高値を更新するなど急上昇しましたが、その後半導体関連銘柄などに売りが出て急反落しました。中国株式市場は、中国景気の先行き懸念や人民元安に伴う中国からの資金流出への懸念から、上海総合指数、香港ハンセン指数ともに続落しました。 【債券】 米国の10年国債利回り(長期金利)は、物価指標が市場予想を下回ったことや、パウエル議長が米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で9月利下げの可能性を示唆したことから、大きく低下しました。ドイツの長期金利は、欧州中央銀行(ECB)が7月会合で政策金利を据え置いたなか、米長期金利の低下に連れて低下しました。日本の長期金利は、日銀による7月会合での利上げ観測と米長期金利の低下からもみ合いとなり、横ばいでした。 【為替】 円の対米ドルレートは、FRBによる利下げ観測と月末の日銀による追加利上げを受けて、日米金利差が縮小するとの見方から150円台に急反発しました。 【商品】 原油価格は、中国経済の減速懸念が高まり、原油需要が減少するとの見方が強まったことなどから下落しました。
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