「はみ出た部分をきれいにまとめたくない」下手くそなところを伸ばしていく、名言製造機・菅井の熱血歌唱指導
はみ出た部分がものすごい芸術 岡本画伯の言葉が指導のヒントに
――歌唱指導の際に心掛けていることなどはありますか。 岡本太郎画伯の言葉を、つんくさんが何かの雑誌で引用されていました「四角い枠にとらわれるな。キャンバスからはみ出しなさい。」と言うようなことをおっしゃったそうです。 それを拝読した時、僕の頭の中にあるイメージが浮かんだんです。子供たちに画用紙を渡すと、みんな勢い余って画用紙からうわーっとはみ出ししながら、地面を汚すように絵を描いていく。そして、そのはみ出た部分こそが、ものすごい芸術なんじゃないかと、はっと気づかされたんですね。「ああ、僕もそういう風に歌ってきたはずなのに、いざ指導する側になったら、なんできれいにまとめちゃおうとするんだろう」と強く思いました。そう、実は指導を始めた頃は、きれいにまとめようとしていたんです。生徒が上手くならないと、ものすごく責任を感じるから。 でも、そうすべきじゃないと気づいたんです。僕は岡本さんの言葉を独自に解釈し、「はみ出た部分を決して怒っちゃいけないし、そこに独自性を見なさい」と受け取りました。そのおかげで、生徒の下手くそな部分を、どんどん伸ばしてやろうと思うようになったんです。芸術は、まとめあげられたものであったり、誰が見てもビューティフルなものに対しての評価ではない。歪なもの、その人しか持ってない下手くそなものこそ、芸術なんだと思います。