「はみ出た部分をきれいにまとめたくない」下手くそなところを伸ばしていく、名言製造機・菅井の熱血歌唱指導
歌唱指導のきっかけはモー娘。第5期オーディション
――オペラ歌手の菅井さんが、歌唱指導を始めたきっかけは? 大学在学中から、バイトとして音楽学校で歌を教えていました。そんな中ある生徒から「あるテレビ番組の企画に出ているんですが、レッスン風景を番組で流してもいいですか?」と聞かれ、テレビ取材を受けることになりました。 その一年後、同じディレクターから、オーディション番組のトレーナーを打診されました。それが、『モー娘。第5期メンバー』のオーディションだったんです。その後つんくさんから連絡があり、今後もハロプロ全般の歌唱指導をしてくれないかと言われたのが、この沼に入るきっかけでした。僕の中でつんくさんは、新しいことをするのがすごく好きな校長先生みたいな人。 ただ、最初は現場も困惑していたと思いますよ、なんかオペラやってる訳分からないヤツが来たって。僕はとりあえずコンサート制作サイドに送られたんですが、第一声で「先生は、ここでいったい何をなさるんですか?」と言われましたから。行けって言われたから行ったのに(笑)。じゃあしょうがないからと、朝に発声トレーニングをするようになりました。毎日現場に行って、朝のトレーニングをした後は、コンサートのリハーサルを見ながらぼーっとしてたわけです。 でも、リハーサルを眺めているうちに、ただぼーっとしているのも嫌だから、歌について指摘をするようになっていきました。すると現場は「あ、この人こういうことしてくれるんだ」みたいな雰囲気になり、一曲ずつレッスンするように。そのうち認めてもらえたのか、リハーサル現場の横に、歌のレッスン室を作ってもらえました。時間の空いてる子を呼び出して指導したりして、菅井レッスン部屋って感じでしたね。 各地のコンサートホールでは、今度は菅井のスパルタレッスン部屋を設けてもらったりして、お客さんとドア一枚隔てたところで指導をしたりもしました。そうやって、なんの土台もないところから、いつのまにか一つの仕事の形が出来上がっていった感じですね。