「はみ出た部分をきれいにまとめたくない」下手くそなところを伸ばしていく、名言製造機・菅井の熱血歌唱指導
ハロー!プロジェクトを筆頭に、多くのアイドルの歌唱指導してきたヴォーカルディレクター・菅井秀憲(すがいひでのり)氏。近年はサバイバルオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」シリーズにヴォーカルトレーナーとして出演し、時に厳しく、時に親身に諭しながらの熱血歌唱指導が話題となりました。 「下手でもいいからいらっしゃい」「下手くそなものこそ芸術」。そう語る菅井氏は、オーディションは歌の上手い下手ではないと言います。ストレートな言葉が当事者と視聴者の心をつかむ名言製造機・菅井氏に、テクニックより重要なこと、若者の表現を「上手くまとめてしまわない」わけを伺いました。
オーディションで感じたいのは「イマジネーション」
――菅井さんにとって、オーディションとは? オーディションはオリンピックのような採点競技ではないと、僕は思っています。その日その時に上手か下手かは、どうでもいいんです。学校でA評価をもらっている、歌の技術が高い人はたくさんいますし、歌唱力というものをテクニックだけで審査するのは、オーディションではないんですね。そもそも、各自のスタートラインが違うんですから。 その子が一体、どんなイマジネーションを働かせているのか。今後生きていく中でどんな影響を受け、自分の中でどんな革命・改革を起こしていくのか。それによって、どんな人に成長していくのか。僕はそれが楽しみになるような子に、将来性をものすごく感じます。 例えば、ある子がオーディション中にとある曲を歌うとします。曲には主人公がいて、「お前と出会ってから~」みたいなことを言ってるわけです。たとえその歌が下手くそだろうと、「この主人公はどういう人間で、この曲が終わった後はどういう行動をして、どういう未来を迎えるんだろうか?」と想像が膨らむような子に目がいきますね。 オーディションは、下手でもいいからいらっしゃいって、僕は思うんです。いや、さすがに全く歌に興味がないのにただ出てみたいというのはダメですよ(笑)。でも、「私は歌が下手だと思ってるけど、歌が好きなんだよな。人前で歌ってみたいな」と真剣に思う人がいれば、それだけでいいから、みんな来ればいいんですよ。いろいろと修行をなさってくるのはいいけれども、どこどこの学校で5年習いましたとか、3年勉強しましたと言われても、オーディションではどうでもいいことです。身一つで来ていただけたら、私たちのところで判断したいなといつも思っています。