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「脚が5本の猫」がSNSで話題に。脚や指の多い猫について獣医師が解説

石井万寿美まねき猫ホスピタル院長 獣医師
はとむぎ@hatomugi_4_より 投稿者の許可を得ています。

SNSで話題になっている猫を紹介します。

筆者は実際の子を見ていないので、動画と写真だけですが、5本の脚を持っている猫でのようです。臨床現場では通常は4本であるところが欠損して3本脚の猫を診察したことはあります。有名な多指の猫もいます。その子たちを飼う上での注意点を見ていきましょう。

5本脚の猫の動画

写真だけだとわかりにくいのですが、動画で見ると5本の脚で歩いています。投稿者のはとむぎさんによりますと、5年前ぐらいからいる野良猫だそうです。

5本目の脚は自分の意志で動かしにくそうなので、外でなにかに絡まりそうですね。でも動画などで見る限り、けがをしている様子もないですね。爪もあるのですが、伸びすぎないのかなと心配です。

筆者は、長い間、獣医師の臨床現場にいますが、脚が5本ある猫を診察したことはありません。その代わりというわけでもないですが、生まれつき後ろ脚が1本しかない、もしくは、後ろ脚の根本が少しだけしかない子を診察したことはあります。その子たちは、飼い猫なので不自由なく暮らしています。

脚が5本、あるいは3本の猫の飼い方とは?

5本の脚の猫や、生まれつき3本の脚しかない猫や、事故や病気で3本の脚になった子の飼い方を説明します。

人の医療のように義足などがあまり発達していないので、普段の生活で始終けがなどをする場合は、手術で断脚などをすることもあります。

それとは違って脚が少なく、3本脚の猫などは、室内飼いだと元気に暮らしています。その子たちを飼うときの注意点は以下です。

高いところに上らせないようにする

平面で暮らさせるようにする

狭いところに入らせないようにする(自分で出てくることができないと困るので)

これらのことに注意していると、他の筋肉がついて元気に暮らせます。

ヘミングウェイホームアンドミュージアムの6本の指の猫

ヘミングウェイホームアンドミュージアムのOur Catsより 6本指の猫
ヘミングウェイホームアンドミュージアムのOur Catsより 6本指の猫

ヘミングウェイホームアンドミュージアムよりますと、約60匹のポリダクチル(6本の指など多指のこと)の猫が生息しているそうです。

猫は通常、5つの前脚指と4つの後ろ脚指を持っています。この博物館の猫の約半数は彼らのDNAにポリダクチル遺伝子を持っています。そのため、ほとんどの猫は前脚に6つの指を持ち、時には後ろ脚にも多くの指を持っていることがあります。彼らは、ミトンを身に着けているかのように見えます。

ヘミングウェイがある船長から多指の猫を譲り受けたそうです。フロリダ半島から西にあるキーウェストは小さな島であり、そこの島の猫の多くがこのポリダクチルの遺伝子を持っているそうです。

海の安全は、天候に左右されます。船乗りの間では、この多指の猫は幸運をもたらすと信じられているので(雄の三毛猫と同じように)、船で飼われています。実際に多指の猫は優れたネズミ獲りで、船の害虫駆除を受け持つことができます。さらに、その脚は岩が多い海辺でバランスを取るのに役立っているそうです。

多指の子は、爪切りをまめにするぐらいで、普通の猫と同じように飼えます。

猫も長寿になり、事故やがんなどで断脚する場合もあるかもしれません。そんなときでも、飼い主の配慮で元気に生きていけるのです。

まねき猫ホスピタル院長 獣医師

大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は食事療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医者さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らしていた。

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