見解環境保護のために実力行使に出るのは、80年代のグリーンピースなども同じだが、「エコテロ」はより一般市民の目に触れるために行う「見せびらかし」を目的にしている点が新しい。一般市民の注意を喚起するため、それだけ焦燥に駆られているとも言える。社会運動をする団体がいかに世論に影響を与えるかを計算している様は、例えばエイズ患者たちの実在の団体を描いた映画『BPMビート・パー・ミニット』(2017年)や環境テロを行う団体を主題にした『ザ・イースト』(2013年)などを観るとよく理解できる。 ただ、「テロ」と呼称するのは正しくないように思う。「テロ」は「恐怖」を意味するもので、こうした抗議運動は恐怖心を与えることを目的としておらず、逮捕されてまでも環境問題に取り組まなければならないという意図を持つものなのだから。
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コメンテータープロフィール
専門は比較政治、欧州政治。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。日本貿易振興機構(JETRO)パリ・センター、パリ政治学院招聘教授、ニューヨーク大学客員研究員、北海道大学法学研究科教授等を得て現職。フランス国立社会科学高等研究院リサーチ・アソシエイト、シノドス国際社会動向研究所理事。著書に『アフター・リベラル』(講談社現代新書)、『ポピュリズムを考える』(ちくま新書)、『感情の政治学』(講談社メチエ)『ミッテラン社会党の転換』(法政大学出版局)、編著に『ヨーロッパ統合とフランス』(法律文化社)、『現代政治のリーダーシップ』(岩波書店) など。
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