見解撤去するかどうかは、ルールや合意に基づいて公平性や透明性を重視して判断したらよいことだろう。 多方で、ベルリン市民は、日韓のどちらの味方でもないことに留意すべきだ。少女像があるからといって、戦争犯罪を犯した日本(同じ敗戦国であるドイツであればなおさらのこと)を敵視するようになるわけではなく、ルールを無視したとされる市民団体を支持するわけではない。逆に、戦争犯罪や過去の歴史に厳しく向き合ってきたドイツ人からすれば、歴史の記憶をめぐって争っているという事実自体を訝しく思うに違いない。長期的に何が国益になるのか、冷静に判断することが必要だ。
コメンテータープロフィール
専門は比較政治、欧州政治。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。日本貿易振興機構(JETRO)パリ・センター、パリ政治学院招聘教授、ニューヨーク大学客員研究員、北海道大学法学研究科教授等を得て現職。フランス国立社会科学高等研究院リサーチ・アソシエイト、シノドス国際社会動向研究所理事。著書に『アフター・リベラル』(講談社現代新書)、『ポピュリズムを考える』(ちくま新書)、『感情の政治学』(講談社メチエ)『ミッテラン社会党の転換』(法政大学出版局)、編著に『ヨーロッパ統合とフランス』(法律文化社)、『現代政治のリーダーシップ』(岩波書店) など。
吉田徹の最近のコメント
「死ぬ権利」フランスで議論が進んでいる背景
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