Yahoo!ニュース

寺沢拓敬

寺沢拓敬

認証済み

言語社会学者

報告

見解「政府目標に届かず」とのことですが,どういう根拠でこの目標値=6割という数字が出てきたのかについて注意が必要です。各種調査や実証研究の結果,6割という基準が達成目標として妥当という結論になったわけではありません。「以前(第3期教育振興基本計画)が5割であり,それが概ねクリアできたから,今度(第4期)は6割にしよう」という理屈でしかありません。単に切りが良いから以上の意味がないのです。目標として現実的かどうかとか,理論的にこの水準は妥当かどうかという議論で決まったわけではないのです。蛇足ですが,この6割の「切りの良さ」感は,10進法の世界でのみ通用する話です。たとえば,2進法の世界では,56.25%や62.50%のほうが切りの良い目標です。こんな雑なやり方ではなく,真剣に目標設定をしてほしいものです。マスコミも政府の発表を右から左に流すのではなく,批判的に報じてほしいものです。

こちらの記事は掲載が終了しています

参考になった12

コメンテータープロフィール

関西学院大学社会学部准教授。博士(学術)。言語(とくに英語)に関する人々の行動・態度や教育制度について、統計や史料を駆使して研究している。著書に、『小学校英語のジレンマ』(岩波新書、2020年)、『「日本人」と英語の社会学』(研究社、2015年)、『「なんで英語やるの?」の戦後史』(研究社、2014年)などがある。

関連リンク(外部サイト)

寺沢拓敬の最近のコメント