見解記事の後半で説明されている高齢者の1人暮らし世帯の増加については、さまざまな推計データを含めて概観すると、とりわけ男性の独居が増えることが予測されています。 女性と比べると、一般的に男性は家事が苦手で、近隣•知人との交流など社会関係の構築も不得手であるとともに健康寿命も短い実態にあります。そうした状況の独居の高齢者男性が増加するわけですから、2050年に向かって生活の支援や孤立防止が必要なケースが激増することになります。 また、2050年に高齢者•独居で暮らす人びとは、いわゆるロス•ジェネ世代が大半であり、経済的にも厳しく、年金の給付水準も低いケースが多くなるはずです。自分の力でそれらに備えることは難しいはずです。 したがって、社会保障政策や住宅政策の重要性が増すことになりますが、わが国の財政状況や人口減少の推計などから考えると、そこに期待することも現実的ではないと言えます。
コメンテータープロフィール
1964年・島根県生まれ。1986年から医療ソーシャルワーカーやケアマネジャーの実務を経験し、2005年から東洋大学で介護福祉士などの福祉専門職養成と高齢者福祉・介護保険制度・ケアマネジメントの研究を行う。社会福祉士・介護支援専門員。