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高野龍昭

高野龍昭

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東洋大学 福祉社会デザイン学部 教授/介護支援専門員

報告

解説生活保護制度では「補足性の原理」が謳われています。これは、世帯が有する資産などはすべて活用したうえで、最低生活のための不足分を生活保護費として支給するというものです。したがって、動産のひとつである自家用車を保有している場合、生活保護を受ける際には処分をしなければなりません。 ただし、この記事のように、通院や生活上やむを得ない事情がある場合は、自治体の判断で保有が可能となります。 一方で、自治体は、生活保護受給者に対し、生活保護制度の目的達成に必要な指導や指示をすることができることになっています(最小限かつ強制を伴わない範囲)。このケースでは、ガソリン代が生活保護費から支出されていると思われますから、その無駄遣いがないか否かを「運転記録を記す」という「指示」でチェックしようとしたのでしょう。 裁判では、その「指示」の適否が争点のひとつになっているものと考えられます。

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  • 岡部卓

    新潟医療福祉大学教授・東京都立大学名誉教授

    補足生活保護制度において、資産の保有は、原則として「その所有又は利用することに適さない資産」は処分、しか…続きを読む

コメンテータープロフィール

高野龍昭

東洋大学 福祉社会デザイン学部 教授/介護支援専門員

1964年・島根県生まれ。1986年から医療ソーシャルワーカーやケアマネジャーの実務を経験し、2005年から東洋大学で介護福祉士などの福祉専門職養成と高齢者福祉・介護保険制度・ケアマネジメントの研究を行う。社会福祉士・介護支援専門員。

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