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高橋和夫

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国際政治学者/先端技術安全保障研究所会長

報告

その死が大規模な抗議行動に火をつけたマフサ・アミニさんは、クルド系でイランではマイノリティーである。これまでも女性が服装ゆえに警察に拘束される例は多かった。しかし死亡が報道されるのは、恐らく初めてだ。マイノリティーゆえに特に酷い扱いを受けたのではないか。抗議行動が最初はイラクやトルコ国境に近いクルド人の地域で起ったのは、偶然ではないだろう。政府の弾圧で既に200名以上が死亡している。死亡者が多いのはクルド人の地域とパキスタンと国境を接するバローチ人の地域である。やはりマイノリティー地域である。クルド人もバローチ人も大半がイランでは少数派になるスンニー派に属している。多数派のペルシア人はシーア派である。地域格差と民族と宗派の違いが三重に重なって、マイノリティーの不満が高まっている。イランは、多くの民族を少数派として抱える多民族国家だ。イランの民族構成の複雑さにも目配りをしつつ情勢を追いたい。

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コメンテータープロフィール

高橋和夫

国際政治学者/先端技術安全保障研究所会長

国際情勢をわかる言葉で、まず自分自身に語りたいと思っています。北九州で生まれ育ち、大阪とニューヨークで勉強し、クウェートでの滞在経験もあります。アメリカで中東を研究した日本人という三つの視点を大切にしています。映像メディアに深い不信感を抱きながらも、放送大学ではテレビで講義をするという矛盾した存在です。及ばないながらも努力を続け、その過程を読者の皆様と共有できればと希求しています。

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