今回の組織的強盗グループの事件では４人が指示役としてかかわったとみられています。そのうち２人がようやく国内に移送されて、逮捕の運びとなります。 国境を越えた形での組織的犯罪が増えるなかで、今回の事件は大きな課題を残しました。 収容施設から指示を出したと思われますが、強制送還がすみやかにできなかったことが、全国14都府県に及ぶ強盗事件を引き起こしたともみることができます。 いまだ渡邉容疑者ら２人はフィリピン内での裁判を抱えて、強制送還ができていない状況からもわかるように、いかに日本という国から手出しをさせないような知恵を、容疑者らが絞っていたかがわかります。 60億円にも上る詐欺組織の指示役となれば、時間が経つとともに、どんな手を打ってくるかわかりません。今も、海外から日本人を狙う詐欺組織はいるはずですので、いかに早く海外の政府との連携で犯人らを送還できるのか。それが問われてます。
コメンテータープロフィール
2001年～02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」（彩図社）は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年～2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。近著に『信じる者は、ダマされる。～元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』（清談社Publico）
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