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助川成也

助川成也

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国士舘大学政経学部教授/泰日工業大学客員教授

報告

見解ベトナムにとって「ロシア」カードは引き続き有効なツールである。今回の訪問で、ロシアとベトナムは数多くの文書に調印したが、中でもロシアの国営石油・ガス会社が南シナ海のガス埋蔵地域の開発プロジェクト参加が注目される。南シナ海は中国がそのほぼ全域で領有権を主張している。この協定は、南シナ海におけるベトナムの経済活動をロシアが支援することを意味し、中国けん制につながる。  また、ベトナムは西側諸国との経済協力を積極的に推進しつつ、ロシアとの関係維持により、バランス外交を推進している。このような外交はベトナムに限らず、他の東南アジア各国も採っている。先頃、タイに続いて、マレーシアもBRICSへの加盟意向を表明した。24年末の米国大統領選挙で、トランプ大統領が再選すれば、米国のアジア離れは決定的であり、そのシナリオの実現可能性を踏まえた対応の意味もあるのであろう。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 服部倫卓

    北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授

    解説以前から、ロシアにとってベトナムは、東南アジアにおける最重要な経済パートナーだった。 2015年にロ…続きを読む

コメンテータープロフィール

助川成也

国士舘大学政経学部教授/泰日工業大学客員教授

専門はタイを中心とした東南アジア経済、FTA等の通商戦略。東アジア共同体評議会有識者議員。1992年よりジェトロ(日本貿易振興機構)勤務。タイ・バンコク事務所主任調査研究員、海外地域戦略主幹(ASEAN)など20年にわたり東南アジア関連業務に従事。2017年に国士舘大学へ。20年に現職。2022年よりタイ・バンコクの泰日工業大学(TNI)の客員教授を兼ねる。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)

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