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服部倫卓

服部倫卓

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北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授

報告

解説以前から、ロシアにとってベトナムは、東南アジアにおける最重要な経済パートナーだった。 2015年にロシア主導の経済同盟であるユーラシア経済連合が成立したが、同連合は早々に、ベトナムとFTAを締結している。 ただ、ロシアがベトナムに輸出している商品は、原料・素材系か、あるいは武器や原子力関連製品といった戦略物資である。前者はベトナム側の関税率が元々低いので、関税撤廃の効果はあまりない。後者は政治的に取引が決まるアイテムであり、これも関税はあまり関係ないだろう。 むしろ、ユーラシア経済連合のネットワークを世界的に広げていくことで、同連合が旧ソ連空間だけのローカルな統合ではなく、グローバルかつ本格的な存在であることを誇示することが、ロシア/ユーラシア側の狙いだったと考えられる。 ベトナムの側も、純粋に経済的にというよりも、中国への牽制という意味で、ロシアとのパイプを必要とした面があった。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 助川成也

    国士舘大学政経学部教授/泰日工業大学客員教授

    見解ベトナムにとって「ロシア」カードは引き続き有効なツールである。今回の訪問で、ロシアとベトナムは数多く…続きを読む

コメンテータープロフィール

服部倫卓

北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授

1964年静岡県生まれ。主な著作に、『不思議の国ベラルーシ ―ナショナリズムから遠く離れてー』、『ウクライナを知るための65章』(共編著)など。趣味は音楽鑑賞(主に1950~1970年代のソウル、ロック、ポップス)と、サッカー観戦(清水エスパルスのサポーター)。

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