補足人には肖像権があり、意に反する撮影や公表を断ることができます。逆からいえば、人の姿を、本人特定できるレベルで撮影したり公表(公開モードで投稿)したりすることは、無断ではできません。このことはアイドルやスポーツ選手などの著名人の場合にとくに「パブリシティ権」として話題になりますが、一般の人もすべて肖像権を持っています。匿名でも、特定性のある顔の画像が無断利用されているとなれば、肖像権侵害となります。 これは利用される側の人の意思によりますので、本人が「苦言」にとどめるとしている場合には法的問題になりませんが、本人が「やめてほしい」と明確な意思表示をした場合には、法的問題となります。
コメンテータープロフィール
東京生まれ。専門は憲法。博士(法学・論文・早稲田大学)。2000年より武蔵野美術大学で 表現者のための法学および憲法を担当。「表現の自由」を中心とした法ルール、 文化芸術に関連する法律分野、人格権、文化的衝突が民主過程や人権保障に影響を及ぼす「文化戦争」問題を研究対象にしている。著書に『文化戦争と憲法理論』(博士号取得論文・2006年)、『映画で学ぶ憲法』(編著・2014年)、『表現者のための憲法入門』(2015年)、『合格水準 教職のための憲法』(共著・2017年)、『「表現の自由」の明日へ』(2018年)。