見解「プーチンの戦争」は将来のロシア社会に深刻な影響をもたらすことは間違いない。そしてそれは反政権の動きが大きくなることを意味する。 露政府の来年度予算案は国防費にGDPの6.2%を計上する計画だが、国内の反体制派を監視する治安対策などウクライナ侵略を続けることで負担しなくてはならない数字は含まれていない。実際にはかなりの財政負担が強いられていると思われ、戦争は国民の生活を圧迫する。 一方でにロシア人の20~40歳の男性が兵士として戦場に出向き、多くが戦死している。兵役を嫌い、数十万人規模の男性が国外脱出しているとも言われる。これは将来の労働市場不安を引き起こす。 プーチン氏は8割の支持を得ているとの調査があるが、不支持率はなおも13%ほどいる。これはロシアの人口に照らし合わせると1700万人にもなる。 反体制派の監視が厳しくなる中で、この数字は決して小さな数字ではないことを強調したい。
コメンテータープロフィール
岩手県一関市生まれ。大阪外国語大学ロシア語学科(現・大阪大学)卒業後、産経新聞社入社。モスクワ支局長、リオデジャネイロ支局長を経て、運動部次長、社会部次長などを歴任。2021年より現職。専門分野はロシア・旧ソ連諸国情勢、国際情勢に加え、オリンピック・パラリンピック、捕鯨問題などにも詳しい。フィギュアスケート関連ではNumberなどにも寄稿。単著に「シー・シェパードの正体」(扶桑社新書)「環境テロリストの正体」(新潮新書)。近著は「動物の権利」運動の正体(PHP新書)
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