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岡本孝司

岡本孝司

認証済み

東京大学教授

報告

見解原子力発電所は、エネルギーの安定供給に大きく役立つ。韓国や中国など、日本の偏西風の上流にある国々では、福島第一事故の後も、原子力発電所の建設が積極的に進められており、安価な電力供給にも役立っている。 残念ながら、資源の少ないわが国では、エネルギーを輸入に頼らざるを得ないことが電気代の高騰にも効いている。中国や韓国などは石炭火力も含め、産業競争力を高めている。 今回の政府の方針は、新規立地をあきらめて、敷地内での増設など、極めて中途半端である。政府に「原子力の議論」をまともにする気がなく、責任回避している。高レベル放射性廃棄物処分場など、立地の問題で苦労しているのは理解するが、原子力の問題を、正攻法で議論せずに、ごまかしながら進めようとしている。〇か×かではなく、様々なオプションの一つとして、原子力エネルギーに対する国民的な議論を進める時期に来ている。

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  • 白鳥浩

    法政大学大学院教授/現代政治分析

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コメンテータープロフィール

専門は原子力工学。東京大学大学院工学系研究科原子力専攻教授。東京大学にて、30年以上にわたり原子力安全、原子力熱流動などの研究教育に従事。月刊誌エネルギーレビューに、コラム「原子力何でもQ&A」を10年以上にわたり連載中。

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