見解この記事からでは詳細がわかりませんが、性暴力被害や虐待に遭ってきた人の中には、解離性同一症（DID／いわゆる多重人格）を持つ人がいます。また、性搾取の被害に遭ったり、自ら望んで風俗で働く人の中にも、過去に性暴力被害や虐待の被害に遭い、精神的に問題を抱えている人もいます。 「私に分離した『私の中にいる誰か』が立ちました」という言葉は、それだけ読むと虚偽や言い逃れに感じられるかもしれませんが、本人からすると事実である場合も考えられます。 精神的な問題に対して社会的な理解があるとは言えない中、こういったコメントが強調されて報道されることに違和感を持ちます。せめてもう少し、背景事情の説明や、精神的な問題を抱える人への配慮が必要なのではないでしょうか。警察もこのようなコメントだけをことさらに発表するのではなく、困難を抱える人かもしれないという視点が必要なのではないかと感じます。
コメンテータープロフィール
ライター／主に性暴力の取材・執筆をしているフェミニストです／1980年東京都品川区生まれ／Yahoo!ニュース個人10周年オーサースピリット大賞をいただきました⭐︎ 著書『たまたま生まれてフィメール』（平凡社）、『告発と呼ばれるものの周辺で』（亜紀書房）『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を』（タバブックス）、共著『災害と性暴力』（日本看護協会出版会）『わたしは黙らない 性暴力をなくす30の視点』（合同出版）など
