補足RDは従来のバイオディーゼルと異なり、牛脂などの動物性油脂や廃食油をベースの原料として通常の石油製品と同様のプロセスで製品化されるため、基本的に軽油とほぼ同じ性状で、米国等では100%RDの給油が普通になされています。また、食物由来ではなく廃棄物由来のため、原料生産時のGHG排出量は無視されるなど、通常の作物から作られるバイオ燃料よりかなり排出量が小さく計算されます。とはいえ米国では大豆やとうもろこし原料の割合が急速に増えていて、もはや廃棄物は不足している状態です。米国から買ってくれという政治的圧力も強いです。 輸送燃料の脱炭素化にとってRDは短期的にはEV化よりも低コストな救世主的な存在ではありますが、まだまだ課題は山積しています。
コメンテータープロフィール
大場紀章 (おおば・のりあき) – 1979年生まれ。京都大学理学研究科修士課程修了。同博士課程退学。民間シンクタンク勤務を歴て現職。株式会社JDSCフェロー。専門は、化石燃料供給、エネルギー安全保障、次世代自動車技術、物性物理学。著書に『シェール革命―経済動向から開発・生産・石油化学』(共著、エヌ・ティー・エス)、『コロナ後を襲う世界7大危機 石油・メタル・食糧・気候の危機が世界経済と人類を脅かす』(共著、NextPublishing Authors Press)等
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