国内の温室ガス「30年度46%削減」、政府が国連に報告書提出へ…順調な進捗をアピール
日本政府は31日、国内の温室効果ガス実質排出量を目標通り、2030年度に13年度比で46%削減できるとする報告書を初めて国連に提出する。11月の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)で、日本の温暖化対策の順調な進捗(しんちょく)をアピールしたい考えだ。
政府は、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」に基づき、実質の温室効果ガス排出量を30年度に13年度比で46%削減、50年までにゼロとする目標を掲げる。国内の排出量は13年度、二酸化炭素(CO2)換算で14億700万トンを記録して以降、再生可能エネルギーの拡大や省エネの推進により減少傾向に転じ、22年度は過去最低の11億3500万トンだった。
今回提出する報告書では、30年度までに化石燃料の利用が大幅に減るとして、排出量が13年度比42%減の約8億1300万トンにまで減ると推計。森林による吸収分などを差し引き、実質排出量では46%の削減を達成できるとした。30年度の電源構成を4割弱を再生可能エネルギーで、2割を原子力発電とするとの想定で推計した。
世界全体では温室効果ガスの排出増加が止まらず、国連環境計画(UNEP)によると、23年の排出量は前年比1・3%増の571億トンと過去最高を更新した。各国の温暖化対策は遅れている上、排出量の測定技術さえ持たない途上国も多い。政府は、来月11日にアゼルバイジャンで開幕するCOP29で、こうした国々への支援策を表明することを検討している。
国連への排出量の報告は日本を含む先進国のみに義務づけられていたが、今年からは、パリ協定に参加する約200か国・地域に隔年の報告が義務づけられた。途上国を含め、世界全体の温暖化対策を着実に進める狙いがある。