見解イスラエルにとっては待望の軍事作戦による人質の解放である。今回解放されたのは年齢も若く健康状態もよい、「10.7」の襲撃で注目を集めた音楽祭の参加者らということで、イスラエル世論にも明るい期待を抱かせるものとなった。こうした救出のニュースが続けば、あるいは地に落ちたネタニヤフ政権も、支持率の一定程度の回復が見込めるかもしれない。こうした軍事的成果は、攻撃を長引かせてきた目的のひとつともいえる。 他方でこれに伴いパレスチナ側に出た犠牲者の数の多さは、攻撃の非人道性を物語るものだといえる。イスラエルにとっての、パレスチナ人とイスラエル人の人命の価値の重さへの評価の違いが如実に表された形だ。人質が無事に解放されたことは歓迎すべきことだが、そのためならどんな作戦をしてもよいということにはならない。攻撃を受けた地域には、ラファから逃れてきた人もいたかもしれない。市民の安全には最大限の配慮が必要だ。
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コメンテータープロフィール
専門はパレスチナ/イスラエルを中心とした中東地域研究、移民/難民研究。東京大学法学部卒業、同法学政治学研究科修士課程修了、総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了、博士(文学)。早稲田大学イスラーム地域研究機構研究助手、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授等を経て、現職。ベイルート・アメリカン大学客員研究員、ヘブライ大学トルーマン研究所客員研究員、ロンドン大学東洋・アフリカ研究学院客員研究員などを歴任。単著に『ディアスポラのパレスチナ人―「故郷(ワタン)」とナショナル・アイデンティティ』、編著に『政治主体としての移民/難民――人の移動が織り成す社会とシィティズンシップ』など。
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