解説双方を非難する、という点では喧嘩両成敗といった結論の報告書である。だがその真意は、むしろそうした価値判断や政治的評価を超えたところにあるだろう。今回の一連の戦闘において、イスラエル側、ハマースら武装勢力側の双方が、戦時においても遵守されるべきルールがあることを無視しているとの指摘だ。戦闘が長期化する中で、忘れられつつある原点に立ち戻り、民間人の犠牲は最大限避ける努力をすべきことへの再認識を促し、戦闘の早期終結を求める趣旨とみられる。
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コメンテータープロフィール
専門はパレスチナ/イスラエルを中心とした中東地域研究、移民/難民研究。東京大学法学部卒業、同法学政治学研究科修士課程修了、総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了、博士(文学)。早稲田大学イスラーム地域研究機構研究助手、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授等を経て、現職。ベイルート・アメリカン大学客員研究員、ヘブライ大学トルーマン研究所客員研究員、ロンドン大学東洋・アフリカ研究学院客員研究員などを歴任。単著に『ディアスポラのパレスチナ人―「故郷(ワタン)」とナショナル・アイデンティティ』、編著に『政治主体としての移民/難民――人の移動が織り成す社会とシィティズンシップ』など。
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