思わせぶりな書き方をしていることもあってか、記事に対するコメントの多さには驚く。日本にとってもいつの間にかスリランカは対中国という意味での一つのバロメーターと化していることを改めて感じる。ただ記者のいうワクチン要請やいざ提供が実現した際に日本は「同国で存在感を高める利点がありそうだ」は読者に期待を持たせすぎではないか。スリランカは日本からのワクチンを要請しているが、むろん欧米中心の他の国々にも同様に行っている。現にインド、ロシアや中国製のワクチンが入っており接種がはじまっている。しかし間に合っておらず、現地は深刻な状況にある。広域で外出禁止令が敷かれ、コロナ患者で病院に引き取れず自宅で命を落とす者も出てきている。日本からのワクチン提供を期待されているが、それ以上でもそれ以下でもない。その先に引き換えに期待出来るものは基本的にない。逆に日本はワクチン外交に成り下がって良いのかと問いたい。
コメンテータープロフィール
羽衣国際大学 教授。博士(経済学)イギリス連邦の自治領セイロン生まれ。高校生の時に渡日、日本国籍を取得。スリランカ人、教授、タレント、随筆家、落語家、空手家、講演家、子育て父などの顔をもっており、多方面で活動中。「Mr.ダイバーシティ」などと言われることも。現在は主に、大学教授傍ら、メディア出演や講演活動を行う。テレビ•ラジオは情報番組のコメンテーターからバラエティまで幅広く、講演家として全国各地で「違いを楽しみ、力に変える」(多様性と包摂)をテーマとする ダイバーシティ スピーカー (多様性の語り部)として活躍。ボランティアで献血推進活動に積極的である。