見解鉄道会社が流通事業を併営するというのは、一般的なビジネスモデルであったが、近年は流通業界も競争激化と寡占化が進行し、鉄道会社のサイドビジネス的な取組では十分戦えない時代になっている。京成電鉄の流通事業は売上562億円、セグメント利益は5億円でしかない。主軸のスーパー事業でも400億円規模と今や、首都圏では中堅以下の存在感である。鉄道会社としては沿線価値の向上が重要であり、競争力の乏しい流通事業を自前でやるより、大手流通の安定的商品供給と連携するほうが、サービスレベルを上げられるという判断であろう。特に食品スーパーに関して、人件費、電力費など運営コストの上昇で、経営には規模の利益が効きやすくなりつつある。こうした事例は他社へも拡大する可能性は十分にあるだろう。商業施設開発については、津田沼ヨーカ堂跡地から始めるというのも、時代の変わり目を感じる。
コメンテータープロフィール
みずほ銀行産業調査部で 小売・流通アナリストに10年以上従事。2016年同行を退職後、中小企業診断士として独立、開業。同時に、慶應藤沢イノベーションビレッジでベンチャー支援活動を開始。並行して、流通関連での執筆活動を継続し、TV出演、新聞、雑誌などへの寄稿、コメント提供、講演活動などを実施中。2016年よりITmediaビジネスオンライン「小売流通アナリストの視点」、2021年よりビジネス+IT「流通戦国時代を読み解く」 を連載中2020年よりYahoo!公式コメンテーター。2021年8月「図解即戦力 小売業界」(技術評論社)を発刊。
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