解説世論調査でもアメリカ国民の大多数が若く、エネルギッシュな大統領を求めていることは明らかで、ハリス氏の年齢は大きな武器だ。ただし、大統領候補としての信頼は、若さだけで得られるわけではないことは、経済や移民など政策についての信任はトランプ氏にリードされてきたことにも伺える。9月後半以降、ハリス氏は積極的にメディアに出始めた。それ自体はいいことだが、そこで自身を大統領候補としてどう位置づけるかの混乱を露呈してきた。ABCテレビでは「政策についてバイデン氏と自分との間にほとんど差異を見つけることができない」と述べたが、先日のFOXテレビのインタビューでは、バイデン氏との違いを強調し、新しいアイディアを政治にもたらすリーダーになると述べた。バイデン路線のどこを引き継ぎ、どこを断ち切って新たな政治を行うのか、ハリス氏の中でも混乱している様が窺える。今からでも明確に説明することが選挙戦上も得策だろう。
コメンテータープロフィール
アメリカ政治・外交、国際関係論、平和研究。東京大学教養学部卒、同大大学院総合文化研究科で博士号取得(学術)。日本学術振興会特別研究員、早稲田大学助手、米国ハーバード大学、ジョンズホプキンズ大学研究員、関西外国語大学助教、高崎経済大学経済学部国際学科准教授を経て2022年より現職。著書に『戦争違法化運動の時代-「危機の20年」のアメリカ国際関係思想』(名古屋大学出版会、2014年)共訳・解説に『リベラリズムー失われた歴史と現在』(ヘレナ・ローゼンブラット著、青土社)。
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