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益尾知佐子

益尾知佐子

認証済み

国際政治学者/九州大学大学院比較社会文化研究院教授

報告

補足党籍剥奪は中国では政治的死刑に相当する重い処分です。ただ、罪の中身はほとんど公開されていません。それがこういう政治ゲームのミソです。すなわち、劇的な失脚劇を目にすると、多くの人が最初はそのニュースを大体信じるのですが、それが何度も繰り返されと彼らの「罪」の中身を疑い始めます。そして、なぜ似たような出来事が次々に起きるのだろう、いつか自分にも災禍が降ってくるのではないか、と考えます。 中国の役人には権力があるので、「だれでも多少は悪事を働いたことがある」状態で、たたけばほこりが出ます。ただ、その中で誰がターゲットになるのかは政治的判断です。中国では最近、国家安全部の権限が肥大しており、この国防相たちもその犠牲になったと言われます。ただしそれによって、軍人のやる気は相当下がっているでしょう。多くの人が、いま昇進はリスクだ、目立たず地味に日常生活を送る方がいい、と判断しているはずです。

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  • 高口康太

    ジャーナリスト、翻訳家

    補足スパイ容疑、不倫隠し子容疑なども取り沙汰されましたが、今回はその容疑はあげられていません。過去の高級…続きを読む

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    富坂聰

    認証済み

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    解説党籍剥奪は中央委員会総会で確定される。軍の規委が調べに入ったのが昨年8月31日なので「時間がかかった…続きを読む

コメンテータープロフィール

益尾知佐子

国際政治学者/九州大学大学院比較社会文化研究院教授

専門は現代中国の対外政策、国際関係論。東京大学総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。小倉高校在学中にアメリカに、東京大学教養学部在学中に中国に交換留学してサバイバル力を磨く。日本国際問題研究所研究員、エズラ・F・ヴォーゲル教授研究助手、早稲田大学講師などを経て現職。ハーバード大学イェンチン研究所協働研究学者、中国社会科学院・外交学院訪問学者などを歴任。単著に『中国の行動原理──国内潮流が決める国際関係』、『中国政治外交の転換点──改革開放と「独立自主の対外政策」』、共著に『中国外交史』、訳書にエズラ・F・ヴォーゲル『日中関係史』など。好きなものは国境。

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