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益尾知佐子

益尾知佐子

認証済み

国際政治学者/九州大学大学院比較社会文化研究院教授

報告

補足中国では共産党がメディアの報道内容などを厳しく規制していますが、その究極の目的は人々の脳を党のラインに染め上げ、党の統治を安定的なものにすることです。この数年、中国では「日米の社会は終わってる」「中国の方がずっと素晴らしい」というニュアンスの扇情的な報道が続いていました。 習近平体制は発足当初、ナショナリズムを煽る報道を慎んできたので、これは政治的な意図を持った変化でした。もちろん中国にはその意図を読み取ってしまう人たちもいますが、大多数は報道を間に受け、反日・反米ナショナリズムを募らせました。ですからこのような事件も起きますし、事件に際して反日的投稿も出てきました。 ただ、現在の国際関係は中国政府に望ましいものではなく、現時点では中国政府は日米との関係緩和を望んでいます。だからこそ投稿規制に乗り出したのですが、元の原因は自分にあるので、そこを改めなければ問題は解決しません。

コメンテータープロフィール

益尾知佐子

国際政治学者/九州大学大学院比較社会文化研究院教授

専門は現代中国の対外政策、国際関係論。東京大学総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。小倉高校在学中にアメリカに、東京大学教養学部在学中に中国に交換留学してサバイバル力を磨く。日本国際問題研究所研究員、エズラ・F・ヴォーゲル教授研究助手、早稲田大学講師などを経て現職。ハーバード大学イェンチン研究所協働研究学者、中国社会科学院・外交学院訪問学者などを歴任。単著に『中国の行動原理──国内潮流が決める国際関係』、『中国政治外交の転換点──改革開放と「独立自主の対外政策」』、共著に『中国外交史』、訳書にエズラ・F・ヴォーゲル『日中関係史』など。好きなものは国境。

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