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益尾知佐子

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国際政治学者/九州大学大学院比較社会文化研究院教授

報告

見解中国が怒っている、のは確かですが、中国の北朝鮮に対する影響力が低下するから...という読みは軽すぎます。中国がロシアを支援してきたのは、ロシアが生き延びて中国の盾となり、米国や西側諸国の圧力をヨーロッパ方面に引きつけておいてくれるのは助かる、と思っていたからです。それは中国の国益にかなうものでした。 北朝鮮の参戦(さらにミサイル実験)は、これと真逆です。これにより、韓国はウクライナへの協力を強化し、日米との軍事的な連携も強めていくことになりました。欧州とアジアの安全保障は一体視されるようになり、EU諸国は東アジアでの安保行動を増やすでしょう。西側諸国は北朝鮮対策の名目で、中国への抑止力としても使える安保勢力を拡大するでしょう。それこそ、中国にとって最悪のシナリオです。中国が急に韓国人へのノービザ待遇を打ち出したのは、韓国が西側との本格的な連携強化に踏み出すのを恐れているからです。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 富坂聰

    拓殖大学海外事情研究所教授

    解説中国のメンツが潰されたとか、北朝鮮に苛立っているとかは問題の本質ではない。中朝関係の悪化という「日本…続きを読む

  • 辺真一

    ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

    見解習近平政権は米国主導の既存の「世界秩序勢力」のターゲットが「モスクワの次は北京」になるとみているので…続きを読む

コメンテータープロフィール

益尾知佐子

国際政治学者/九州大学大学院比較社会文化研究院教授

専門は現代中国の対外政策、国際関係論。東京大学総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。小倉高校在学中にアメリカに、東京大学教養学部在学中に中国に交換留学してサバイバル力を磨く。日本国際問題研究所研究員、エズラ・F・ヴォーゲル教授研究助手、早稲田大学講師などを経て現職。ハーバード大学イェンチン研究所協働研究学者、中国社会科学院・外交学院訪問学者などを歴任。単著に『中国の行動原理──国内潮流が決める国際関係』、『中国政治外交の転換点──改革開放と「独立自主の対外政策」』、共著に『中国外交史』、訳書にエズラ・F・ヴォーゲル『日中関係史』など。好きなものは国境。

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