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益尾知佐子

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国際政治学者/九州大学大学院比較社会文化研究院教授

報告

提言中華人民共和国は台湾を代表していない、とは最近は国民党の政治家からも聞く話です。(馬英九などの年配の政治家はむしろ例外。)頼総統の演説は、全体としては真実しか述べておらず、台湾人を元気付けるトーンで書かれており、国内的にはよい演説だったといえるでしょう。ただし、中国がこれを事実上の独立宣言を見なす可能性はあります。 とはいえ、中国が台湾に対してできることは限られています。今、中国の経済は悪く、政治家の汚職摘発が続くくらい国内体制は不安定。軍をうまく動かせる保証がないので、本当に台湾侵攻をしかけるわけにいきません。だから頼総統も言ったのでしょう。 ただ、そうなると中国は心理的ないらだちを日本にぶつけてくる可能性があります。具体的には、東シナ海、さらに他の領域で日本への軍事的ハラスメントを拡大するなどです。無駄なもらい火を避けるため、選挙戦で政治家は台湾絡みの発言を慎むべきかと思います。

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コメンテータープロフィール

益尾知佐子

国際政治学者/九州大学大学院比較社会文化研究院教授

専門は現代中国の対外政策、国際関係論。東京大学総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。小倉高校在学中にアメリカに、東京大学教養学部在学中に中国に交換留学してサバイバル力を磨く。日本国際問題研究所研究員、エズラ・F・ヴォーゲル教授研究助手、早稲田大学講師などを経て現職。ハーバード大学イェンチン研究所協働研究学者、中国社会科学院・外交学院訪問学者などを歴任。単著に『中国の行動原理──国内潮流が決める国際関係』、『中国政治外交の転換点──改革開放と「独立自主の対外政策」』、共著に『中国外交史』、訳書にエズラ・F・ヴォーゲル『日中関係史』など。好きなものは国境。

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