解説家計の金融資産残高2199兆円は前年差で146兆円の増加ですが、うち約23兆円が所得増加などによるもので、約124兆円が株価、投資信託などの価格上昇によるものです。また、23兆円の増加のうち、投資信託への投資が約8兆円増加しましたが、最大の増加は現預金の約12兆円です。 金融資産の急増により、消費者のマインドが改善し、消費が活発となってもおかしくないのですが、2023年度は年間を通じて個人消費の弱さが目立ちました。これは、物価高の進行などによる将来の生活難に備えて、一定の生活資金を確保しておこうという防衛意識が家計に広がっているためと考えられ、こうした意識が安全資産である現預金の積み上がりにつながっている可能性があります。そうであれば、春闘を受けての賃金上昇、6月から始まった定額減税、夏のボーナス増加などの所得増加分が貯蓄に回ってしまい、個人消費の増加が限定的にとどまる懸念があります。
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コメンテータープロフィール
1990年3月一橋大学社会学部卒、同年4月日本長期信用銀行(現新生銀行)入行。外資系資産運用会社勤務を経て1999年12月三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)入社。以来マクロ経済/金融調査を専門に担当し、現在は国内経済統括を担当。東京外国語大学非常勤講師(2003年度~2011年度)、参議院客員調査員(2005年9月~)。BSテレ東「日経プラス9」・日経CNBC「昼エクスプレス」レギュラーコメンテーター、NHK、民放テレビ各局への出演、日本経済新聞など有力紙、専門誌への寄稿多数。ESPフォーキャスト調査、2018年度/2020年度/2021年度優秀フォーキャスター。
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