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木村元彦

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補足元ミャンマー代表のバレーボール選手だったマラの父親は、息子がそのルーツに対する差別やイジメで心が折れそうになると、JFAハウス(当時)に連れて行き、日本サッカーミュージアムでひとりの選手のプレートを見せた。日本サッカー殿堂入りしているその選手は、 大正時代にイギリス統治下のビルマから、東京高等工業学校(現・東京工業大学)に留学生としてやってきたチョーディンと言った。彼はサッカーの母国仕込みの本格的なパスサッカーを日本の学生に教え込んだ。後の日本代表監督となる竹腰重丸はじめ、薫陶を受けた選手たちは、やがて日本サッカーの礎となっていった。チョーディンはマラと同じラカイン民族であった。マラは殿堂入りしている同胞の偉業を知った。肌の色も属性も恥ずかしく思うどころか、誇るべきルーツ。プロを目指したのは、差別を見返すというよりもチョーディンのようにこの国のサッカーに貢献したいというその一念だった。

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コメンテータープロフィール

木村元彦

ジャーナリスト ノンフィクションライター

中央大学卒。代表作にサッカーと民族問題を巧みに織り交ぜたユーゴサッカー三部作。『誇り』、『悪者見参』、『オシムの言葉』。オシムの言葉は2005年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞、40万部のベストセラーとなった。他に『蹴る群れ』、『争うは本意ならねど』『徳は孤ならず』『橋を架ける者たち』など。

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