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木村俊運

木村俊運

認証済み

脳外科医

報告

補足「くも膜下出血」という名称は、名前の通り、”くも膜の下(で脳の外)”に出血したということであり、出血の場所を示す名称です。 吉田隼人騎手の場合は、落馬して頭をぶつけたと報道されており、詳細は分からないものの、「外傷性くも膜下出血」と考えられます。 脳卒中のくも膜下出血は、大半が脳の太めの動脈にできた脳動脈瘤からの出血によって起こりますが、外傷性くも膜下出血は、頭をぶつけた衝撃で、脳の表面の、多くの場合細い動脈/静脈あるいは脳自体が傷ついて出血することで起こり、一般的には安静にして自然に吸収されるのを待つことになります。 もちろん、当たり所が悪ければ、太い動脈の枝が引き抜けるなどして、動脈瘤と同様に激しい出血を起こすこともあります。 何にせよ、頭蓋骨や脳脊髄液という防御装置があっても、脳にそれだけの衝撃が加わったということですので、大きな怪我であることは間違いありません。

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コメンテータープロフィール

脳神経外科医。脳動脈瘤・良性腫瘍・バイパス手術・微小血管減圧術(顔面痙攣・三叉神経痛)など、微細操作が必用な手術が得意。日本赤十字社医療センター(渋谷)。

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