解説今回の3カ国首脳会談は、南シナ海における最近の中国の行動を受けて急に持ち上がった話ではありません。2022年6月にフィリピンでマルコス政権が誕生した直後から、省庁の実務レベル、そして民間シンクタンクレベルでさまざまな協議が行われ、3カ国の国家安全保障会議のトップの会合や外相会談などで、協力の分野や深度などについて意見交換や調整が行われてきました。さらに言えば、米比関係が大きく揺らいだドゥテルテ政権下でさえも、外務・国防当局の実務的協議は継続していました。 米国、フィリピン共に、それぞれにトランプ政権下、ドゥテルテ政権下で、外交政策の大きな変化・空白がありました。対外的に大きなメッセージを持つ首脳会談が定例化されることは重要です。同時に、どのような政権交代があったとしても、実務レベルでの協力・連携を進める外務・国防高官の会合や国家安全保障会議の会合も制度化されることが、きわめて重要です。
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コメンテータープロフィール
神戸大学大学院国際協力研究科修了(政治学博士)。フィリピン大学研究員、在フィリピン日本国大使館専門調査員、在タイ日本国大使館専門調査員、衆議院議員秘書などを経て現職。専門は東南アジア政治、国際協力論。防衛大学校グローバルセキュリティセンター共同研究員。技能公募予備自衛官(英語)。近著に、Pathways for Irregular Forces in Southeast Asia: Mitigating Violence with Non-State Armed Groups (Routledge, 2022年)、『アジアの安全保障2021-2022』(朝雲新聞社2021年、共著)など。
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