解説インドネシアは2000-2021年の21年間で、ロシアから11.53億ドルの防衛装備品を調達しています。これは東南アジアではベトナム、マレーシアに次いで多い額です。理由は欧米民主主義国からの防衛協力が途絶えた時期があることで、98 年のスハルト大統領失脚後、東ティモールでの人権侵害を理由に米国からの武器禁輸を課され、ロシアから戦闘機やヘリコプターを調達した経緯があります。 ただ、インドネシアが中国やロシア寄りというわけではありません。まさに全方位外交、複数のパートナーを模索しています。インドネシアは2018年にロシアとの間で合意していた11機のSU-35多用途戦闘機の調達を、2021年に見送っています。米国がロシアの防衛産業部門と取引を行っている個人または国に対して選択的に制裁を課す法律(CAATSA)を発動することを懸念したためであるとみられています。
コメンテータープロフィール
神戸大学大学院国際協力研究科修了(政治学博士)。フィリピン大学研究員、在フィリピン日本国大使館専門調査員、在タイ日本国大使館専門調査員、衆議院議員秘書などを経て現職。専門は東南アジア政治、国際協力論。防衛大学校グローバルセキュリティセンター共同研究員。技能公募予備自衛官(英語)。近著に、Pathways for Irregular Forces in Southeast Asia: Mitigating Violence with Non-State Armed Groups (Routledge, 2022年)、『アジアの安全保障2021-2022』(朝雲新聞社2021年、共著)など。
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