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門倉貴史

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エコノミスト/経済評論家

報告

見解US スティールは、日本製鉄による買収が成立しなかった場合のリスクを考えて、今回の買収交渉に応じる条件として日本製鉄に800億円を超える巨額の違約金を要求していたとみられる。  ただ、US スティールが日本製鉄から巨額の違約金を受け取ることになっても、今回の買収が不成立に終わったことによるUS スティール側の経済的損失は全くカバーできない。  日本製鉄が提示していたUSスティールに対する買収条件は、米国内で雇用を創出し、米国の鉄鋼産業の発展に貢献するものであった。  千載一遇のチャンスを逃したことで、USスティールの高コスト体質はそのまま温存されることになり、国際競争力は一段と弱まり、米国の鉄鋼産業の衰退に拍車をかける結果になるだろう。  バイデン大統領の判断は、中国の鉄鋼産業の躍進を後押しし、米国の国益を損なうものだ。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 前嶋和弘

    上智大学総合グローバル学部教授

    補足もちろん大金ですが、買収未成立のリスクを考えての違約金なので、額は最初からの交渉で両者織り込み済み。…続きを読む

  • 安部かすみ

    ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

    補足日鉄が負うペナルティは5億6500万ドル(約890億円)に上るものになり、将来の対米投資にも悪影響が…続きを読む

コメンテータープロフィール

1971年神奈川県生まれ。95年慶応義塾大学経済学部卒業、同年銀行系シンクタンク入社。99年日本経済研究センター出向、00年シンガポールの東南アジア研究所出向。02年から05年まで生保系シンクタンク経済調査部主任エコノミストを経て、現在はBRICs経済研究所代表。同研究所の活動とあわせて、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」など各種メディアにも出演中。また、雑誌・WEBでの連載や各種の講演も多数行なっている。『図説BRICs経済』(日本経済新聞社)、『増税なしで財政再建するたった一つの方法』(角川書店)、『オトナの経済学』(PHP研究所)、『日本の「地下経済」最新白書』(SB新書)など著作多数。

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