見解2020年代までに最低賃金の全国平均を1500円にするという政策目標は、経済学の常識から見てどうやっても実現不可能だ。 この目標を達成するには高度経済成長期並みの年率7.3%というありえないスピードで最低賃金を引き上げていく必要があり、大企業と下請け関係にあって立場が弱く、価格転嫁が難しい中小企業は、人件費負担の増加でたちまち経営が行き詰まり、倒産や廃業が相次ぐことになる。 結果、失業者が増えて国民生活をかえって窮乏化させてしまうだろう。 過去20年以上にわたって賃金のマイナスを放置してきて、わずか数年間でそれを取り戻そうとしても、土台無理な話ではないか。 実現不可能な数値目標を撤回しなければ、最終的に国民の信用を失う可能性が高い。
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コメンテータープロフィール
1971年神奈川県生まれ。95年慶応義塾大学経済学部卒業、同年銀行系シンクタンク入社。99年日本経済研究センター出向、00年シンガポールの東南アジア研究所出向。02年から05年まで生保系シンクタンク経済調査部主任エコノミストを経て、現在はBRICs経済研究所代表。同研究所の活動とあわせて、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」など各種メディアにも出演中。また、雑誌・WEBでの連載や各種の講演も多数行なっている。『図説BRICs経済』(日本経済新聞社)、『増税なしで財政再建するたった一つの方法』(角川書店)、『オトナの経済学』(PHP研究所)、『日本の「地下経済」最新白書』(SB新書)など著作多数。
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