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門倉貴史

門倉貴史認証済み

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エコノミスト/経済評論家

報告

見解厚生労働省によると、紙の保険証を発行するために年間235億円のコストがかかっている。単純に考えれば紙の保険証を廃止すれば235億円のコスト削減になる。  しかし、国民医療費は年間46兆円(2022年度)に達しており、紙の保険証の廃止による経費削減効果は無視できるほどに小さい。  しかも、マイナ保険証の普及が十分に進まなかったことで、紙の保険証の代わりとなる「資格確認書」の大量発行が必要になり、紙の保険証廃止による経費削減効果は100億円程度に縮んでしまう。  一方、紙の保険証を廃止してマイナ保険証に一本化してしまうと、システムや機器の不具合が発生したときに適切な医療サービスを享受できなくなるリスクが高まる。  微々たる経費削減のために医療サービスの提供が滞るようなことになれば、国民の利便性は向上するどころかむしろ悪化してしまい、本末転倒の結果を招くのではないか。

コメンテータープロフィール

1971年神奈川県生まれ。95年慶応義塾大学経済学部卒業、同年銀行系シンクタンク入社。99年日本経済研究センター出向、00年シンガポールの東南アジア研究所出向。02年から05年まで生保系シンクタンク経済調査部主任エコノミストを経て、現在はBRICs経済研究所代表。同研究所の活動とあわせて、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」など各種メディアにも出演中。また、雑誌・WEBでの連載や各種の講演も多数行なっている。『図説BRICs経済』(日本経済新聞社)、『増税なしで財政再建するたった一つの方法』(角川書店)、『オトナの経済学』(PHP研究所)、『日本の「地下経済」最新白書』(SB新書)など著作多数。

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