見解物価高対策として住民税非課税世帯に3万円を支給する政策は、税金を払っていない層が手厚い恩恵を享受し、真面目に働いて納税している中間層が割を食う内容になっており、客観的にみて不公平感が強い。 そもそも住民税非課税世帯=生活困窮世帯とみなすことに無理がある。住民税非課税世帯は低所得であっても、すべての世帯が生活環境が厳しいわけではないからだ。住民税非課税世帯には金融資産のある年金生活者がかなりの数で含まれており、本来支給する必要のない世帯にまで給付金が支給されてしまうという問題がある。 一方、収入があって給付金の支給対象にはならないが、税や社会保険料の負担が強まって生活環境が厳しくなっている中間層はかなりの数で存在する。 このような不公平感のある経済政策が繰り返されれば、中間層の勤労意欲が削がれてしまい、日本の労働生産性にも無視できないマイナスの影響が及んでくるだろう。
コメンテータープロフィール
1971年神奈川県生まれ。95年慶応義塾大学経済学部卒業、同年銀行系シンクタンク入社。99年日本経済研究センター出向、00年シンガポールの東南アジア研究所出向。02年から05年まで生保系シンクタンク経済調査部主任エコノミストを経て、現在はBRICs経済研究所代表。同研究所の活動とあわせて、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」など各種メディアにも出演中。また、雑誌・WEBでの連載や各種の講演も多数行なっている。『図説BRICs経済』(日本経済新聞社)、『増税なしで財政再建するたった一つの方法』(角川書店)、『オトナの経済学』(PHP研究所)、『日本の「地下経済」最新白書』(SB新書)など著作多数。
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