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井上智介

井上智介

認証済み

精神科医/産業医

報告

見解自分の行動が社会的なモラルから逸脱する、俗にいう”ずるいことをした”と自覚する場面は、成人になってからもあるでしょう。例えば、大学で代返を頼んだり、会社で面倒な仕事を忙しいフリをして、だれかに押し付けたり。 ただ、この行動がばれた時の【社会的な羞恥】は、自分が「自分をどんな人間と認識しているか」と「自分は他者からどう認識されているか」の思いに大きなギャップがあれば、アイデンティティの崩壊につながります。 それはプライドを傷つけ、他者からのネガティブな評価を食らう恐怖を抱え、どんどん孤立を強め、コミュニティから追放される不安も膨らみ、所属感の減少や周囲への罪悪感から、自殺リスクを増大させます。 学校と本人の間でどのようなコミュニケーションがあったのか詳細は不明ですが、人間なんて清廉潔白に生きられず、醜さのある未熟な存在であり、何度でもやり直せる教育的指導が伝わらなかったのは残念です。

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コメンテータープロフィール

兵庫県出身。島根大学を卒業後、大阪を中心に精神科医・産業医として活動している。産業医としては毎月30社以上を訪問し、一般的な労働の安全衛生の指導に加えて、社内の人間関係のトラブルやハラスメントなどで苦しむ従業員にカウンセリング要素を取り入れた対話を重視した精神的なケアを行う。精神科医としてはうつ病、発達障害、適応障害などの疾患の治療だけではなく、自殺に至る心理、災害や家庭、犯罪などのトラウマケアにも力をいれている。さらに、ブログやツイッター、講演会などでこれらを分かりやすく「ラフな人生をめざすこと」を発信している。

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