見解家族だからこそ、肩代わりしたり尻拭いしたくなりますよね。ただ、それが本人の依存症治療を遅らせる行為であることはもっと知られてもいいでしょう。 大切な人が困っている姿をそばで見ていると、歯がゆいし何とかしたくなるのも十分に理解できます。ただし、依存症の場合は患者自身が『治療しなくちゃ…』という思えるタイミングがとても重要です。 依存症は【否認の病】といわれます。どのような事実があっても、周りからどれだけ指摘をされても、初期の頃には『自分は依存症ではない』という強い否認があります。そうなれば、当然ながら治療の継続どころか開始もできません。 大切な人だからこそ、治ってほしいからこそ、心を鬼にするタイミングをスルーしないで下さい。どの疾患にも言えることですが、早期発見・早期治療です。『今回だけは私が…』というあなたの優しさを『一緒に治療がんばろう』と寄り添った声かけに形を変えてみて下さい。
コメンテータープロフィール
兵庫県出身。島根大学を卒業後、大阪を中心に精神科医・産業医として活動している。産業医としては毎月30社以上を訪問し、一般的な労働の安全衛生の指導に加えて、社内の人間関係のトラブルやハラスメントなどで苦しむ従業員にカウンセリング要素を取り入れた対話を重視した精神的なケアを行う。精神科医としてはうつ病、発達障害、適応障害などの疾患の治療だけではなく、自殺に至る心理、災害や家庭、犯罪などのトラウマケアにも力をいれている。さらに、ブログやツイッター、講演会などでこれらを分かりやすく「ラフな人生をめざすこと」を発信している。
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