見解明治15年~40年に適用されていた「旧刑法」では、災害に乗じた窃盗を重く処罰する「災害時窃盗罪」が規定されていました。しかし、窃盗の類型を区別することには実益がないとする理由から、現在は、窃盗罪一罪にまとめられています。ただし、残念ながら、災害に乗じた窃盗や詐欺などの横行という事実がなくなるわけではなく、被災者を余計に苦しめる結果となります。 防犯カメラの設置は、こういった犯罪に関する証拠保全という意味でも、非常に有益といえます。画角を工夫するなど、プライバシー保護に配慮しつつ、より効果的な設置を迅速にしていく作業はもちろん大変ですが(ランニングコストもかかる)、こういった取り組みなどにより、被災者の安心を少しでも確保し、これを軸に、公的な形での人による防犯活動へとさらにつなげていくことは、被災地支援にとって重要な意味を持つものとなります。
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コメンテータープロフィール
1969年愛知県生まれ。東京都立大学法学部卒業、博士(法学・東京都立大学)。専門は刑事法。近年は情報法や医事法にも研究対象を拡げている。著書として『放火罪の理論』(東京大学出版会・2004年)、『防犯カメラと刑事手続』(弘文堂・2012年)、『現代社会と実質的刑事法論』(成文堂・2023年)、『アメリカ刑法』(訳・レクシスネクシス・ジャパン・2008年)など。
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