見解大手IT事業者(プラットフォーマー)の提供するSNSなどは、すでに社会インフラとしての位置づけになっているといえます。 社会インフラを支える、従来の電力・ガス事業、旅客運送事業や放送事業などは許認可制度のもと、一定の公益的な責務を果たすことが要請されてきました。 これに対して、ネット事業として発達してきたプラットフォーマーは、許認可の対象ではありません。しかし、ネットが、社会基盤の必要不可欠な部分を構成する事業としての性格を帯びてきた現在、事業を行う上で一定の法的責務を負うことは、不可避の状況です。 この法改正だけで、ネット中傷等の問題の飛躍的な改善が図られるわけではないのが、残念ながら現実でしょう。しかし、問題の解決に向けた、一つのステップとして位置づけられるものです。 そういった意味からも、事業者の側で、改正法の趣旨に沿った適正な運用に努めることが強く求められます。
コメンテータープロフィール
1969年愛知県生まれ。東京都立大学法学部卒業、博士(法学・東京都立大学)。専門は刑事法。近年は情報法や医事法にも研究対象を拡げている。著書として『放火罪の理論』(東京大学出版会・2004年)、『防犯カメラと刑事手続』(弘文堂・2012年)、『現代社会と実質的刑事法論』(成文堂・2023年)、『アメリカ刑法』(訳・レクシスネクシス・ジャパン・2008年)など。
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