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星周一郎

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東京都立大学法学部教授

報告

医療は、医師から説明を受けた上での、患者の同意(インフォームド・コンセント)に基づくことが基本です。同意に反する医療は、結局はその患者の利益にはならず、憲法の保障する幸福追求権に由来する患者の権利に反するから、という考え方に基づきます。 判断能力が十分でない子どもの場合には、親の同意が原則です。もっとも、親が、親自身の信仰を理由にして子どもの医療を拒否した場合まで同じに考えてよいのかには疑問が残りますが、それでも、医師の判断のみで医療を行うことはできません。 ただし、記事にもあるように、厚生労働省は、こういった場合の医療拒否はネグレクトにあたるとの見解を示しています。具体的には、「宗教的輸血拒否に関するガイドライン」などに基づき、状況により、一時保護による緊急対応や児童相談所長による親権停止申立なども含めて、医療を受けられる方向での対応をするよう求めています。

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  • 一杉正仁

    医師/滋賀医科大学教授

    信仰上の理由で輸血を拒否することがあります。判断能力がある成人の場合、個人の価値観に基づくものなので…続きを読む

  • 多田文明

    詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト

    宗教上の理由で輸血を拒否する。聖書の言葉を文字通りにとらえて活動する「エホバの証人」の信者による行動…続きを読む

コメンテータープロフィール

1969年愛知県生まれ。東京都立大学法学部卒業、博士(法学・東京都立大学)。専門は刑事法。近年は情報法や医事法にも研究対象を拡げている。著書として『放火罪の理論』(東京大学出版会・2004年)、『防犯カメラと刑事手続』(弘文堂・2012年)、『現代社会と実質的刑事法論』(成文堂・2023年)、『アメリカ刑法』(訳・レクシスネクシス・ジャパン・2008年)など。

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