補足今回の宇宙線イベントは、テレスコープアレイが10年以上の観測で検出した中で最もエネルギーが高いものです。このエネルギーは地上の加速器で達成可能なものをはるかに凌駕しており、このような高エネルギー現象の研究は地球外からやってくるものの観測のみで可能になります。特に、今回検出されたような10の20乗電子ボルトを超える宇宙線は、ビッグバンの名残として宇宙全体を満たす「宇宙背景放射」の電波とぶつかる確率が高くなるので、数億光年以内の比較的近傍の天体から来ていると考えられます。それにもかかわらず、到来方向に対応する天体がないことは大変興味深く、予想外の天体が隠れている可能性や、未知の素粒子に絡んだ現象の可能性など様々なシナリオが考えられます。その解明のためには、同種のイベントの検出数を増やすことが本質的ですので、今後のさらなる観測が待たれます。
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コメンテータープロフィール
電波望遠鏡を使って天の川銀河やブラックホールの研究をしている天文学の研究者です。
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