見解非常に重要な判断ですね。 耳コピは音源を忠実に再現することを目指すもので、新たな創作性を加えるものではないため、そこで新たな著作権が生まれるということは基本的にありません。よって、著作権は問題にならない。 高裁は、著作権の侵害にはならないが、多くの労力を要する耳コピ楽譜を購入した上で、類似のものを無料公開して稼ぐ行為は一般の不法行為にあたる、と認定したようですね。 ある情報(ここでは楽譜)の利用が著作権の侵害にならない場合、その同じ利用がそれでも不法行為になるかについては、長い議論があります。著作権法は情報の自由な利用と許されない利用を仕分けるルールなので、そこで許されるけどやっぱり違法という領域が増えれば、結局何が許されて何がダメなのか社会はわからなくなるからです。 とはいえ今回はあまりにただ乗りが過ぎる、という判断でしょう。上野教授のコメント通り、最高裁での基準の明確化が望まれますね。
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コメンテータープロフィール
弁護士(日本及びニューヨーク)。骨董通り法律事務所 for the Arts 代表。日大芸術学部・神戸大学大学院・iU・CATで客員教授。専門はエンタテインメント・メディアの法律と契約、著作権法、肖像権・メタバースなど情報法。 内閣府知財本部・文化庁ほか委員。デジタルアーカイブ学会法制度部会長、JPASN常任理事、エンタメロイヤーズネットワーク理事。近著『18歳の著作権入門』(ちくま新書)、『エンタテインメント法実務』(弘文堂・編著)、『ロボット・AIと法』(有斐閣・共著)ほか。
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