見解JOCの声明に、尽きますね。 例えば、自分の国を愛し、自国の選手を応援するのはごくごく自然な感情です。ただ、スポーツ・ナショナリズムも行き過ぎれば、選手たちや審判への誹謗中傷、時には暴力にさえつながり、過去不幸な犠牲を生んで来たことは周知の通り。実務の経験からもたびたび感ずることです。 ですから、(有名無実化していますが)五輪憲章は「オリンピックは国家間の競争ではない」と明記し、実は国別のメダル順位表の作成を禁じています。IOCの会長はかつて、国旗国歌の掲揚・演奏をやめる提案をしたこともあります。 この点にはもちろん様々な意見があるでしょう。が、そうした視点があることや今回のJOCの呼びかけも念頭に、少しだけ引いた視線でオリンピックを楽しむことも大切です。馴染みのないスポーツとの新たな出会いや、敵味方を超えたアスリートやコーチ達の奮闘へのリスペクトと見る喜びが、生まれるかもしれませんね。
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コメンテータープロフィール
弁護士(日本及びニューヨーク)。骨董通り法律事務所 for the Arts 代表。日大芸術学部・神戸大学大学院・iU・CATで客員教授。専門はエンタテインメント・メディアの法律と契約、著作権法、肖像権・メタバースなど情報法。 内閣府知財本部・文化庁ほか委員。デジタルアーカイブ学会法制度部会長、JPASN常任理事、エンタメロイヤーズネットワーク理事。近著『18歳の著作権入門』(ちくま新書)、『エンタテインメント法実務』(弘文堂・編著)、『ロボット・AIと法』(有斐閣・共著)ほか。
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